検査内容を知っておきましょう
妊婦健診では毎回、体重測定・血圧測定・尿検査・超音波検査を実施します。
超音波検査では、子宮内の胎児の様子を画像で観察できます。
赤ちゃんの発育を観察するだけではなく、逆子かどうかなど、詳しく状態をチェックします。
体重測定
受付前に計測器があります。
血圧測定後に出てくる用紙に、体重を記入し看護師に提出してください。
妊娠前の体重と比べ、急激な減少や増加がないかを調べます。
急激に体重が増加した場合は、『妊娠高血圧症候群』や『妊娠糖尿病』を引き起こす可能性があるので、しっかりと管理する必要があります。
体重増加は、どの位までが許容範囲?
体重増加の基準は、普通体型の妊婦さんは妊娠中に7~12kg、痩せぎみの妊婦さんは9~12kgです。
体重は増えすぎても増えなさすぎても良くありません。
妊娠前の「体格別推奨体重(BMI)増加表」を参考にして、体重制限にこだわるより、バランスの良い食事を摂るようにしましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例えば、身長160cmで体重55kgの場合は、
55(kg)÷1.6(m)÷1.6(m)=21.4843…
で、BMIはおよそ21.5となります。
参考文献 厚生労働省「妊娠用の至適体重増加チャート」
尿検査
トイレにて尿を採ります。コップに名前を記入してください。
初診では妊娠反応を調べ、それ以降は妊娠経過や赤ちゃんの成長、ママの体に影響するトラブルのサインが出ていないかをチェックしています。
尿検査でなにがわかるの?
尿中に含まれる糖分やたんぱく質、ケトン体の数値を調べることで「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」など、胎児への影響も考えられる病気を発見できます。
これらの病気を早期に発見することで、お母さんと赤ちゃんを守るために行うのです。
尿糖検査
尿糖の検査は、尿中にどれくらい糖分(=ブドウ糖)が含まれているかを調べるものです。
尿中の糖分の量が多いと、糖尿病合併妊娠や、妊娠糖尿病が疑われます。
尿中に糖分がない状態(=検査結果が陰性(-))が正常で陽性(1+、2+)であった場合は異常の可能性があります。
尿糖が陽性であった場合は、本当に糖尿病が原因なのかを調べる必要があります。
糖尿病は血液中の血糖値を測定することで分かります。
尿糖が陽性でも、血液中の血糖値が正常であれば特に問題はありません。
尿ケトン体検査
ケトン体とは肝臓が脂肪を分解する過程で作られるものです。
健康な人でも尿中のケトン体は少なからず含まれています。
ヒトは普段はブドウ糖をエネルギー源として利用しています。
妊婦さんの場合、つわりなどで十分な食事ができず体に栄養が足りていない状態になると、ブドウ糖ではなく体に貯めた脂肪を燃焼させて生命活動を行います。
その結果、尿中にケトン体が出てくる状態になるのです。
つわりの症状が強い妊婦さんは十分な栄養が取れていないため、尿中のケトン体が上昇すると言われています。
基準値よりも多いかどうかを判断をします。
尿蛋白検査
尿の中に蛋白があるかどうかを調べる検査です。
基本的に妊娠中というのは蛋白尿になりやすい体質になっていますが、時に妊娠高血圧症候群や腎臓の病気の可能性があるので注意が必要です。
通常では尿中に蛋白が検出されることはありませんので、(-)が正常値です。
陽性(1+)~(4+)であった場合は異常の可能性があります。
(1+)の方が蛋白の量が少なく、(4+)の方が大量の蛋白が検出されたことになります。
蛋白というのは体に必要なものです。
尿中に体に必要としている蛋白が出てしまうのは、腎臓の働きが低下しているサインです。
一回の検査で陽性になったとしても必ず病気であるというわけではありませんが、定期的な検査が必要です。
血圧測定
受付前に計測器があります。
妊娠高血圧症候群の早期発見のために測定します。
最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上が高血圧です。
高血圧とはこれまで無縁だったという人も、妊娠をきっかけに「妊娠高血圧症候群」と診断され、戸惑うこともあります。
誰にでもなりうる病気である自覚を持ち、自身の血圧を知っておくことが大切です。
超音波検査
妊婦健診では、定期的にお母さんとともにおなかの赤ちゃんが元気かどうかを確認していきます。
その方法のひとつとして、おなかの赤ちゃんの発育の観察・異常の早期発見のために広く用いられている方法が超音波検査です。
超音波検査でわかることは大きく分けて2 種類あります。
・形態の観察
赤ちゃんの断面を観察することにより検査を行います。
赤ちゃんの推定体重・大きな奇形・へその緒や胎盤の異常などが分かります。
・生理機能の観察
赤ちゃんの成長や動き、赤ちゃんやへその緒の血液の流れの検査、赤ちゃんの心臓の働きの検査 (心臓の機能検査) などを行い、赤ちゃんが元気かどうかを観察します。
その他、羊水(赤ちゃんの尿量)や身体の動きなども検査します。
経腟エコーと経腹エコーの違いは?
経腟エコー
腟専用の細長い棒状の形をしたプローブと呼ばれるセンサーを、膣内に挿入して検査する方法です。
妊娠12週ごろまでは、この方法が使われます。
胎内の赤ちゃんに近い位置で子宮を観察できるため、精密な画像が確認できます。
赤ちゃんの様子だけでなく、ママの子宮や卵巣の健康状態も診察します。
おもに妊娠初期の妊婦健診で使われますが、妊娠中期以降でも、胎盤や子宮頸管の状態を確認するために用いられることがあります。
腹部エコー
妊娠中期から行われる超音波検査は、おなかの外からプローブをあてる方法。
超音波の通りをよくするためのゼリーをおなかに塗って、プローブを徐々に滑らせるようにあてます。
プローブから発信された超音波は、臓器や血管にあたると跳ね返ります。
跳ね返ってきた超音波をプロープが再び探知したものが、モニターに画像として映し出されます。
経腟エコーと異なり、内診台に上がったり下着を脱いだりする必要がなく、ベッドの上で横になって検査が行われます。
その為、旦那さんやご家族がご一緒に、エコー画面を見ることが出来ます。