妊娠初期の兆候ってどんなもの?
月経周期が順調であった女性が、月経の予定日を過ぎても次の月経が来ない場合は、妊娠の可能性があります。
一方で、妊娠すると少量の出血や下腹部の痛みをともなうこともあり、月経と間違えてしまうことがあります。
また月経不順のある人や出産後に、まだ月経が再開していない人は、妊娠していても気が付かないことがあるかもしれません。
月経が来ないことは妊娠以外の原因でも起こりますが、妊娠している場合には、吐き気や嘔吐などのつわり症状や、だるさ、熱っぽい、眠気などの症状が出ることが多いです。
その他に、胸が張る、乳首が痛い、気分が沈んだりイライラする、などの症状がみられることもあります。
ただし、つわりの症状や体調の変化を感じない人もいます。
主な症状
・基礎体温が高い状態が続く
月経の始まりから排卵までは低温期と呼ばれ、低めの体温が続きます。
排卵が起きると黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、高温期と呼ばれる高めの体温が2週間ほど続きます。
そして、ガクンと体温が下がると、次の月経が始まるのですが、妊娠しているとそのまま黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が続くため、基礎体温は高温期が続きます。
月経予定日になっても基礎体温が下がらず、高温が続くようなら、妊娠の可能性があると考えていいでしょう。
・微量の出血がある
生理予定日より少し前に微量の不正出血が見られることがあります。これは「着床出血」と呼ばれるもので、受精卵が着床するときに、子宮壁を傷つけることで出血するものです。
着床出血の場合、出血量はごく少量とされており、色としては生理と同じような鮮血であることもあり、おりものに混ざってピンク色に見えることもあります。
時間が経過して出てきた場合は茶色になっていることもあります。
通常の月経と見分けがつかないこともあるようです。また、着床出血が起きない人もいます。
着床出血と生理による出血は、時期が近いので自分では判断がつかないことが多いですが、わずかに不正出血が見られたあと基礎体温が下がらなければ、生理ではなく妊娠兆候の可能性があります。
・胸が張る、乳首が痛くなる
妊娠初期の胸の張りには、さまざまなホルモンの活動が影響しています。
妊娠初期には子宮の発達を促すために卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。
この卵胞ホルモンには乳腺組織や乳管を活性化させる作用があり、これが胸の張りを生じさせます。
加えて、基礎体温を高め子宮内膜を維持するために黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されますが、黄体ホルモンにも乳腺組織を活性化させる作用があり、この時卵胞ホルモンのほうが相対的に黄体ホルモンより過剰に分泌された際に、張りや痛みを感じる原因になるといわれています。
・気持ち悪い、吐き気がする
最も多くの人が感じる妊娠初期症状の一つである、「吐き気」。
妊娠初期に吐き気が表れる原因はまだ解明されていませんが、ホルモンのバランスが大きく変化することが原因ではないかと言われています。
妊娠超初期の吐き気の有無や感じ方に個人差があるように、吐き気を感じやすいタイミングにも個人差があるようです。
空腹のときに吐き気を感じるという人もいれば、就寝時・起床時に吐き気を感じる人もいます。
気持ち悪さを感じるきっかけも、症状も個人差があり、なかには一度もつわりがない妊婦さんもいます。
つわりの多くは妊娠12~16週前後に自然におさまりますが、まれに症状が悪化し、治療が必要な妊娠悪阻(にんしんおそ)になる場合があるので注意が必要です。
強い吐き気や嘔吐の影響で水分が取れていないときは、早めに病院を受診しましょう。
・体がだるい、眠い
妊娠すると基礎体温が高い状態が続くことによって、体のほてりやだるさ、眠気を感じることがあります。
眠くなる原因は、プロゲステロンというホルモンです。
このホルモンには、眠くさせる働きがあります。
生理前にはプロゲステロンの分泌量が増えますので、眠気を感じるようになります。
また、ホルモンバランスが大きく変化することで、情緒不安定になり、やる気が出ないことも。
鼻水や咳などの風邪症状があるわけではないのに、体がだるくて仕事や家事に身が入らない、少しでも横になりたい、などと感じることもあります。
・腹痛、下腹部痛が起きる
妊娠初期に腹痛があると、もしかして流産では?
と心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。
ただ、妊娠初期に起こる腹痛はめずらしい症状ではありません。
着床した胎芽を育てるために子宮が収縮を繰り返します。
子宮の収縮により、生理痛のような腹痛を感じることがあります。
このような痛みの感じ方には個人差があります。
一日中痛みが続く人もいれば、ほとんど感じない人もいます。
妊娠初期の腹痛と生理痛は区別がつきにくく、症状で判断することは難しいです。
普段の生理痛とは痛みを感じる場所や感じ方が違ったり、普段は生理痛がないのに生理痛のような痛みを感じたりしたときは、妊娠初期症状である可能性が考えられます。
また、妊娠初期の下腹部痛には、流産や子宮外妊娠が原因で起こるものもあります。
しばらく横になってゆっくり休み、安静にしていても腹痛がおさまらない、痛みが酷くなっている、出血量が月経より多い場合は、すぐに診察を受けましょう。
・頭痛がする
妊娠初期症状として、意外にも多くの妊婦さんが悩まされるのが「頭痛」。
妊娠初期~中期にかけて、妊娠と同時に女性ホルモンが多く分泌されるため、月経前にあるような重たい頭痛の症状があらわれやすくなります。
これはプロゲステロン(黄体ホルモン)に血管を拡張する作用があるためです。
また、肩こりなどがひどくなって頭痛を引き起こすこともあります。
頭痛は妊娠初期の間ずっと悩まされやすい症状です。
痛みが酷い時は、医師に相談しゆっくり休みましょう。
・便秘になる
前述のとおり、プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用で胃腸の動きが弱くなるため、妊娠後は便秘になりやすくなります。
ホルモンの働きにより、消化器平滑筋が弛緩します。
また、子宮が大きくなることで、胃を圧迫するようになります。
この2つのことから、消化器運動が低下し、胃の中にいつもよりも長時間食物が停滞するようになって、便秘になりやすくなるというわけです。
また、子宮内に羊水を貯め込もうとする働きから、腸内の水分が減ることや、つわりで十分に水分や食事が摂れないため、便の原料が不足するということも妊娠初期の便秘の原因となります。
ひどい便秘にならないように、水分と繊維質をしっかり摂りましょう。
もしひどい便秘になってしまった場合には、医師に相談して便秘薬を使用し、排便を促すようにしましょう。
・味覚、嗅覚が変わる
妊娠初期に見られる症状の一つに「味覚と嗅覚の変化」があります。
匂いに敏感になるほか、食べ物、飲み物、香りに対する嗜好(好み)が変わります。
つわりの一種として、すっぱいものが食べたくなるという話は良く聞きます。
そのほかにも、妊娠中のみ味や匂いに対する感じ方や好みが変化するケースが多く見られます。
いままで好きだった食べ物が嫌いになったり、好きだった匂いが不快に感じて吐き気をもよおしたりします。
柑橘系のジュースが飲みたくなるなど、酸っぱいものを求めるようになる点は皆同じですが、それ以外の嗜好の変化ついては、好みが人それぞれであるように、変わり方も千差万別です。
程度に差こそあれ、大多数の方は妊娠を機になんらかの形で食べ物の嗜好に変化を感じるといわれています。
味覚障害に関しては完全な予防が難しく、これさえしておけば味覚障害にならないという方策はありません。
妊娠初期のつわりは避けようがありませんが、妊婦さんが自分でできることは怠らずにきちんと行うようにしましょう。
たとえば、亜鉛や鉄不足にならないよう食生活を正すことやストレスや疲労を溜めないこと、口内を清潔に保つようにし、虫歯や歯周病予防に徹することなど、毎日の生活の中で出来ることをひとつずつこまめに行うようにしましょう。
市販の薬を飲んでも良いの?
妊娠初期症状として悩まされる「頭痛」や「便秘」
これから妊娠を望む方、現在妊娠中の方は、自己判断で鎮痛剤などを飲むことは避けましょう。
妊娠初期は赤ちゃんが発達していく大切な時期です。
妊娠の初期の症状と、風邪の症状は、たとえば、頭痛・だるさ・熱っぽさなど、似ているものがいくつかあります。
妊娠の可能性があるときは、風邪薬の安易な服用に気をつけましょう。
まずは医師に相談し、薬を処方してもらいましょう。
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